彼女の名前はAgatha ---アガサという。
彼女はブリティン第一銀行の前に、雨の日も雪の日もかんかん照りの日も、ただ立ち尽くす。
そしてブリタニアに事件が起きると、彼女はニュースを読み上げる。
そのニュースは多岐にわたる。
どこかのダンジョンで怪しげなモンスターが暴れている!という急を要するものから
雪が降り積もって足元が危険だよ、という事まで。
それが彼女の仕事なのだ。
というわけで、恒例のように首都ブリティンの第一銀行前でイベント待ちをする我々。(大和 2007.09.20)
サベージ族の族長ヴェクをブリティンの王城に迎えてから二週間。エレイン女史からの召集の日時が決まっていたので、時間に合わせてイベント好きが次第に続々と集結し始めていた。特にする事もなく、まったり〜と会話を交わす。
全員が、ただひたすらに、エレイン女史からの指令を伝えるアガサの発言を待ち続ていた。
「News」「今のところニュースはありません。」「ちっ、まだか〜」
そうこうしているうちに、アガサの発言に変化が見られた。
ほ、本部で受信!?
一体どういうシステムになっているんだろう。
ともかく、もうじき召集がかかることに間違いはない!
ブリ銀前に一気に緊張が高まる。全員の視線がアガサに集まった。
そのような中、アガサは口を開いた。
・・・・・。
アガサぁぁぁぁぁぁぁっ、ごるぁぁぁぁぁっ
しごくもっともとも言える反応を見せる冒険者。
「あ!!!」てなんだ「あ!!!」て。
などとタウンクライヤー・アガサに遊ばれているうちに、ついにアガサが声を上げた。
来たっ。女史のお呼びだ!
エレイン女史いわく、サベージ族族長ヴェクはやはりだれかに扇動されていたようだ。その何者かがサベージ族ではありえない「アンデッド召還」をヴェクに教えたのだとか。
「ヴェク殿からその密会場所をうかがってね。何か手がかりが残っていないかこれから見に行こうと思うの。」
どこかエレイン女史は気楽な調子で言った。
ピクニック気分が漂う中、エレインとのんきな冒険者たちの集団は目的地に向かう。
だがロストランドの地形は入り組んでいる。しかも見晴らしの利かないジャングル。
途中、多少道に迷いつつ、落伍者を出しつつのピクニック。
せんせぇっ、岡島君がいませ〜ん。
しかしエレイン女史は鼻歌交じり。日ごろ、よっぽど評議会などでストレスがたまっているのであろう。ハイテンションなエレイン女史というのも珍しいものである。
しかし、目的地にはとんでもない男が待っていたのだ。
待ち伏せか!
黒いスーツアーマーの男はエレインと冒険者達を嘲笑すると、かかってこいとばかりに挑発した。
男の名はJordan(ジョーダン)。・・・て・・・ジョーダンって、ジョーダンって、なんかものっそ、どっかで聞き覚えがある名前なんですけど・・・。い・・やぁ・・・まさか・・・ねぇ?
悪人のくせに「ははは」なんて、爽やかな笑い声しやがって。
悪人なら悪人らしく、「くっくっくっく」とか「ぐふふふふふ」とか「うけけけけ」とかで笑いやがれ。
ぶちぎれたエレイン女史の掛け声と共に、戦闘がはじまった!
直接攻撃が効かないことに気付いた冒険者たちは、攻撃を魔法に切り替える。
でかいことを言っていた割には、前回のヴェク殿ほどには時間もかからずジョーダンを打破。
しかしその直後、忽然としてジョーダンの死体は消えうせてしまった。
その場に残されていた箱からは、何かが写りそうで写らない水晶と、怪しげなイヤんなことが書かれた本が。
「ジョーダンへ。 親愛なる兄弟よ。この本を読んでいるという事は、お前も再びこの世界に戻ってきたという事だな。・・・・・」
え〜。再びこの世界に、とか・・・ジョーダン、とかって・・・。
噂に聞いていた、アレですか。アレなんですか?
地球時間でいう1998年12月から1999年7月にかけて。
各日本シャードに「恐怖の大王」ゴルモアが降臨した。ゴルモアは メイヤー、オズボーン、ヴァネッサ、そしてジョーダンという四人の僕を従えて地獄へと繋がる門を開き、世界の破滅をたくらんだのだ。
死をも恐れぬ冒険者たち、そして数多くの犠牲を払い・・・ゴルモアは滅びたはずなのだが・・・。
ジョーダン、というのは、このゴルモアの配下の事なのか?
特に大和シャードでは、数ヵ月後にゴルモアが復活、再び暴れるなど、ゴルモアに縁のある地である。この復活の際にゴルモアの死体から取れた、世界にたった一本しかないSoul
Eaterというゴルモアの所持剣がある、という話もある。
このゴルモアが背後にいる、というのだったら・・・事態はこれだけに留まるまい。
これは、ピクニック気分ではいられない。
さて、二週間後。(大和 2007.10.04)
我々は再び、エレイン女史による呼集を待っていた。
タウンクライヤー・アガサがニュースを読み上げるのを待つ間、お料理をすることに。
本日のメインのお料理はカエルである。
・・・もとい。
そのような事をしているうちに、アガサがニュースを読み上げた。
む?ということは、今評議会の真っ最中、エレイン女史が海千山千の評議会議員を相手に四苦八苦している頃だな。
そしてしばし後。
冒険者の協力を要請するエレインの言葉がアガサの口から告げられると、我々は猛然とダッシュしてブリティン城に向かった。
はっ、エレイン女史、会議で疲労困憊ですか。
冒険者たちがエレイン女史の体力の消耗を指摘すると、女史は
怪しげな薬を飲み干した。一気に回復するエレイン女史のHP.
一体何の薬なんですか何の。
女史・・・漢すぎます。
ともあれ。女史は、前回ジョーダンが残した水晶が見えるようになった、と冒険者に報告。そこに見えるのは砂漠と海、そして岩山の上で光る何か。そこで待ち受けているのはきっと・・・
ジョーダンの兄弟、という奴だろう。
おそらく光は灯台、ということはこの水晶に見られる光景はロストランドの北部。
あたりをつけたエレイン女史と冒険者たちは、現場に急行することに。
そして向かった先にはいかにも怪しげなテントが。そして、今度はローブ姿の男が待ち受けていた。
よし、悪人らしい笑いだから及第点をやろう。
そこに居た男の名はメイヤー。・・・やはり、ゴルモアの部下の一人と同じ名前である。
しかし、エレイン女史はメイヤーに向かって言い放つ。
「あなたとジョーダンがしたことは、ジョーダンとメイヤーの双子と自らを偽ってサベージ族を混乱に落としいれ、デルシアの人々を苦しめた」
この言葉にメイヤーは
おお、今度は「フハハハハハッ」笑いで来たか!
双子のくせに、ジョーダンの方は「ははは」笑いしか出来なかったというのに、片割れの方はなかなかにできるではないか。
メイヤーは、あくまでゴルモアの部下ではないとの推測を口をする女史を笑い飛ばすと
「我々は何度だろうが蘇る!何度だろうが主の下にはせ参じるまでよ!」
腐臭を漂わせながらエレイン女史に襲い掛かってきた。
今度は魔法が効かない!
ということは。バードメイジの筆者にできることと言ったら蘇生と回復くらいなもので。
前線で戦う人たちのHPバーを適当に引きずり出して、GHを打ち込みまくる。
蘇生と回復、解毒ならまかしときなとっつぁん!(誰だ)
じりじりとメイヤーのHPは削れて行き、ついには覚悟を決めたか攻撃の手を止めるメイヤー。
そしてメイヤーは魔法を唱える。
爆破、炎上するテント。
ぼろぼろになったテントの中には
ゴルモアと四将軍の肖像画が飾られ
奥には、双子のとも思われる棺おけが。
こ、これは。本物の、はるか彼方昔に滅びたはずの、メイヤーなのか?ゴルモアが復活しているというのか?
その後。エレインが現場から宮廷に持ち帰った本には、この陽動の間にデルシアを攻める、というゴルモアの計画が書かれていることが判明。エレイン女史は動揺しつつもデルシア防衛への指令を矢継ぎ早に出した。
デルシアを守れ!一ヶ月前の悲劇を繰り返すな!
事態は急を要してきたのであった。
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