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My Story -ロード・ブラックソン私考-
ブラックソンの人間性

ウルティマオンラインが本稼働する前、β版でのストーリーである。
シャドーロード(ウルティマにおける根本的な悪の存在)はブリタニアに確実に浸食しつつあった。強大な悪と必死に戦い続ける国王とその同胞たち。魔導師ニスタルはブリタニアを守るためにゲートを作るが、ゲートの維持の為に日に日に消耗していってしまう。
ロード・ブリティッシュはその様を見て嘆いた。「世界の平和の為に大切な臣下を失うかもしれない」
それを聞いたブラックソンは激怒する。
「世界の重さと一人の命の重さ、それを秤にかけるこという問題の重大さをあなたは今ごろ理解したのか?」

ブラックソンは、こういう人間なのだと思う。
もし、一人を犠牲にする事によって世界が救われるとすれば、ロード・ブリティッシュは世界を選択するであろう。そしてその後、犠牲となった一人を悼む。
しかしブラックソンはきっと、その一人を見過ごすことができない。その後に訪れるであろう危機を認識していたとしても。

β版では、ブラックソンはロード・ブリティッシュを憎ませようとするシャドーロードの邪悪な誘惑をはねのけ、国王に忠実に仕え続ける。その思いも虚しく、β版はロード・ブリティッシュ暗殺、世界の崩壊で終わりを告げるのだが。

ブラックソンの世界と個人に対する基本姿勢はUO本稼働の後も同じであった。ブリタニアに存在する多数の本のうちの一冊、魔法ネズミのシェリーが話したとされる「My Story」からもそれが読み取れる。

ロード・ブリティッシュの元に超越した存在「タイムロード」が訪れ、悪を排除する為に粉々になっているシャードを一つにしなければならない、と告げる。破片となっているシャードは不安定な存在であり、悪が既に入り込み始めていると。さらにタイムロードは、国民が「徳」と共に生きることによって破片はオリジナル世界と共鳴、融合するのだと告げた。
しかしシャードを元に戻すという事は、それぞれのシャードで生まれた全ての生き物の消滅を意味する。
それを聞いてしまったブラックソンと、タイムロードの意向に従おうとするロードブリティッシュは激しく対立する事となる。

ロード・ブリティッシュは八徳の推進を即座に議会にかけたが、ブラックソンは「A Politic call tp anarchy(アナーキズムへの思慮深き呼びかけ)」を表し、八徳推進を否定した。強制された徳が推進されることにより、個人の自由意志の制限が行われる。すべてを疑え、自分の目で確かめろと説いた。
この本においてブラックソンが本当に否定したかったものは徳ではなく、「全体」の為に「個」を犠牲にする、その行為自体ではなかっただろうか。


全体か、個、か。
「政治をする上では大事の為には多少の犠牲は仕方がない」と一方が言えば、一方は「たった一人を救えない政治なんて」と反論する。どちらが正しいのか決して判断してはならない、永遠の課題の一つである。
ただ一つ確かに言えるのはブラックソンがいかに人を愛し慈しむ事のできる人間だったか、という事なのではないであろうか。


ロード・ブリティッシュの不在

BNNをひもとくと、「ブラックソンの復讐」以前の彼に関する記述が意外な程に少ない事に驚かされる。ブリタニア・クライシス(1999年12月〜2000年4月)でミナックスの支配する土地に偵察に向かっていたブラックソン。彼に関しては、他、ロード・ブリティッシュの演説に参加していた事しか書かれていない。
その後BNNに彼が再登場した時には既に彼はエクソダスの配下になっていた。

BNNには一切記述がないが、ブリタニア・クライシスとブラックソンの復讐の間に、ロード・ブリティッシュは行方不明になっている。ぶっちゃけ真っ正直な話、2000年3月にロード・ブリティッシュことリチャード・ギャリオットがオリジン・システムズの役員を解任された事を表しているのであろう。いやこの話はこっちに置いておいて。

ニスタルが「このような事になるならば、決して彼(ロード・ブリティッシュ)を行かせはしなかったのに」と過去を顧みている事や、デュプレ卿が「あのように奴が無茶をできるのも、俺たちを信用してくれているからだ」と述懐している事からも、ロード・ブリティッシュが自らの意志でどこかへ旅立っている事が判る。

しかし偉大なロード・ブリティッシュの不在が、すでに政治思想の対立から反目していたブラックソンとの危うかった均衡を破った。
体を機械化し、エクソダスの配下に墜ちたブラックソンの回想によると、ブラックソンは「指導者のいない国は滅びる」事を理由に政権を要求した。これ以上政権を空白にしておく事に危機感を憶えたからだ。しかしブラックソンの要求はニスタルによって却下された。
その後、エクソダスの元でブラックソンを発見するまでの間の彼の足取りは要として知れない。エンサイクロペディアによれば、ブラックソンは死んだと思われていたとされているが、BNNには描かれていない。

せめて、BNNにおいてロード・ブリティッシュ不在時のブラックソンの行動について、「ブラックソンの復讐」の前に一度でも言及があったならば、と思わずにはいられない。なぜブラックソンがそれほどまでに政権に執着を持つようになったのか。その伏線を市民が知っていれば、その後のブラックソンの急激な変節にそこまで戸惑いを覚えることはなかったはずである。

ブラックソンの真実

「ブラックソンの復讐」におけるブラックソンには、かつて彼のバックボーンであった深い人間愛など見る影もない。ブリタニアに対する支配欲が全面に打ち出され、傲慢さが浮き彫りになる。
シャドーロードの邪悪な誘惑にβ版では打ち勝つことが出来たが、今回は勝てなかったのか。

たとえエクソダスの元に走った理由がシャドーロードの巧妙な誘惑に乗ってしまったからだとしても、堕ちていくには必ず彼自身の中に下敷きがある。ブラックソンの意志が弱かったのではない。ブラックソンは民衆の命を救うということに対して強い意志を持っていた。その強さが、逆に邪悪な誘惑に屈する原因となったのではないだろうか。

傷つく者が多ければ多いほど、救いたいと願う心は同様に傷ついていく。
傷つけば傷つく程、心は堅くなる。傷つかないために、力を欲するようになる。そして固まった心は気高さを傲慢へと導く。
一旦歪んでしまった望みは野望へと歪曲し、追い求めていた理想の極端な部分だけが増大される。
民衆までもその刃にかけるようになってしまったブラックソン。それはすでに、恐怖の対象でしかなかった。


ロード・ブリティッシュによってブラックソンが追悼された。変節こそしたもののブラックソンは大切な同胞であった、とロード・ブリティッシュは述べる。
そして演説の中でロード・ブリティッシュは大きな政策変換を発表した。

不死の宝珠のかけらそれぞれにある世界をひとつにしようという試みを捨てよう、と。
ブラックソンは死して彼の意思を達成せしめたのだ。ロード・ブリティッシュはその後、虚無空間へ帰らぬ旅路に向かった。


フェルッカ・ブラックソン城にある墓。
石碑には「ブリタニアの友であり同胞であるブラックソン、ここに眠る」
「彼の生と死により、悪は、どのような高潔な魂さえをも腐らせてしまうことを心に留めよ」
と書かれている


ロード・ブリティッシュもブラックソンも居なくなったブリタニア。彼ら無き今、個は公共の益を考えず、全体は個を踏みにじる時代がやってくるのであろうか?そうなるかどうかはブリタニアにすむ一人一人の肩にかかっている。

このページ内の文章はあくまでかにかくに管理人の現時点での私論であり、事実と異なる可能性があります。今後更なる文献が見つかるなどした場合、少しずつ訂正していくものとします。
第一稿 2006.05.07

参考 ウルティマオンライン公式サイト http://ultimaonline.jp/community/bnn/
    ウルティマオンライン公式エンサイクロペディア 発行メディアワークス
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