「蔓延する絶望」

同盟者と敵軍呪文の儀式種子兆し準備蔓延する絶望エピローグ


イルシェナーが発見されて以来、さまざまな策動をするエクソダスの傍に奇怪な男の姿があった。エクソダスに対しても同等の口の利き方をする冷酷な外套の男。
彼こそがロード・ブラックソンのなれの果てである。

盟友ロード・ブリティッシュとの対立はあったものの、常にブリタニアを愛し続けたブラックソンがなぜここまで転落したのか。彼自身は進化だと言うであろうが。
ロード・ブリティッシュが立ち去りし後、ブラックソンは王のいない王国は衰退する、ゆえに最高位の貴族である自分が王位に着くべきだと主張したがニスタルによって拒否された。その心の隙をついて、エクソダスがブラックソンに共闘をもちかける。モンデインとミナックスによって作られた邪悪な機械エクソダスはブラックソンにブリタニアの支配者という地位を約束し、さらに機械の身体を与えた。異形の身体は見る人に恐れと不快感を抱かせた。
また、エクソダスの配下となったケイバーにとって、ブラックソンは目上の存在だったが、それでもケイバーは人間であるブラックソンに対するさげすみの念を隠そう とはしなかった。


ジュカ族による、ブリタニアの街々への襲撃により多くの被害がもたらされた。
しかしユーの街をジュカ族が蹂躙した時、一人のうら若き女性が剣を持ち立ち上がった。騎士であった祖父から剣の技と徳の心を受け継いだドーン(Dawn)は生来のカリスマ性と徳の精神で兵を指揮し、見事ジュカを追い払うことに成功。サー・デュプレの信任も得、対ブラックソン戦の象徴的存在となった。







パッケージ「ロード・ブラックソンの復讐」に付いて来た、かの有名なアメコミで出自が説明されていたレディ・ドーン。最近になってようやくそのアメコミを見ることが出来た。戦いを経験したことのない農民の娘が立ち上がり、民衆がそれを支持する、というと、やはりイメージはジャンヌ・ダルクなんだよなあ…

アドラナスは人間にこれ以上の犠牲を払わせないために、ジュカに対して腐敗の術をかける。しかし魔法は失敗、なんとユーの豊穣な大地が腐り始めてしまう。
腐った大地は次々と腐った生物を生み出し、それは人を襲い始めた。














さすがはやることなすことすべて裏目に出るアドラナス、狙いを違わないぜ。
その後アドラナス、ダーシャとクレイニン、ドーンの会談が持たれるのだが、ニスタルの跡を継ぐ重責をドーンにぼやくクレイニン、あまりに若いので「長老の魔導師」と見なされず落ち込むクレイニンなど、クレイニンファンにとっては垂涎のエピソードだったりする。


大地の腐敗とジュカ族、二つの災厄を前に、人間と同盟を組むことを了承するアドラナスとダーシャ。
しかし腐敗はブリタニア全土に及ぼうとしていた。
アドラナスは人間とミーアの共同研究による腐敗の治療法を試みるために冒険者達に協力を要請。ジュカやブラックソンの軍勢、腐敗生物が襲い来る中、懸命に治療を 施す冒険者達は、多くの犠牲を出したものの、ついに腐敗を止めることに成功したのだった。


ここから、かの有名な「プラグビースト・ロード切開手術」が始まった。今でもステキな趣味として切開手術にいそしむ冒険者もいる。


高貴な血筋にしがみつき、あくまで高慢なブラックソン。人間を見下し、その人間が命令をする事に耐えられないケイバー。
両者の関係はさらに悪化していた。
エクソダスはブラックソンを介さずケイバーを呼び出すと、ジュカ族に退却命令を出す。エクソダスには目的の達成の為に他にやる事ができたからだ。しかしエクソダスはそのことをブラックソンには告げなかった。ブラックソンはエクソダスに切り捨てられたのだ。怒り狂うブラックソン。しかしその怒りはブラックソンの機械の体に変調をもたらしたのだった。

これらは一人の哀れな男の話にすぎない。
男は全てを失った。
友を失い、肉体を失い、信頼も自尊心も優しさも謙虚さも愛も、希望さえも失った。
もしかすると、希望は友を失ったときに一緒に消え果ていたのかもしれない。
男には何も残らなかった。
憎しみ、ねたみ、怒り、そのような感情は薄っぺらな張りぼてでしかなかった。
全てを失い、空っぽになった男は嘲け笑われ、骨までしゃぶりつくされた。
おろかな道化として舞台に一人とりのこされたブラックソンには、空洞になったはらわたを轟々と吹き抜ける風の音しか聞こえない。

腐敗によりユーの生家を失ったドーンと、生まれ育ち、守り続けてきた生まれ故郷を無くしたダーシャ。二人は心を通わしあい、それぞれに立ち上がり、進み続けることを決意した。