ゴルモアの体力は底知れず。削っても削ってもみるみるうちに回復していってしまう。冒険者達の顔色に疲労の色が濃くなり始めた。
そして、女史が激しく傷ついている!
あわててGHを飛ばすが、それでもHPの減りは止まらない。
い、いかん!このままでは・・・
GHをエレイン女史に連打しながら、デンビーの事を思い出していた。
エンサイクロペディアの編纂者、ライキュームの司書。
エンサイクロペディア移送の途上、本を守りながらミナックスの手先に殺害されたデンビー。
冒険者達が一生懸命に包帯を巻き、そしてGHをかける中、無慈悲に広がっていく赤いゲージ。
あの時の無力感を・・・
「口ほどにもないな!エレイン・ベイフェリー!」
勝利を確信したか、ゴルモアは戦いの手を止めて高笑いをした。
くぅっ、さすがだゴルモア・・・敵ボスの笑いとしてはパーフェクトだ。しかもローマ字とは・・・
敗北感を覚える筆者をあざ笑うかのように、女史の出血は酷くなっていく。
「この世界此度こそ余が滅ぼしてくれよう。」
ゴルモアは圧倒的な力を誇示するかのごとく羽を広げながら言った。
「貴様が命乞いをするならば少しくらいは死を先伸ばしにしてやっても良いぞ?
みじめったらしく這い蹲るがよい」
「ゴルモ・・・・ア・・・まけ・・・ませ・・・」
死を目の前にしてこそ、エレイン女史の真の強さが表れる。最後の瞬間まで、敵に刃を向けようと・・・
その時。ゴルモアの背後にデスボルテックスが現われた。
お?
おおお?
お、お、お、お、お前は!
ミ、ミミミミミ、ミナックス!
エセリアル、投影体だが、確かにミナックス! なんでてめぇがここに!
てか、ゴルモアだけじゃなくミナックスなんて。
これは、きょ、極大級ピンチって奴っすか!
ミナックスはゴルモアの前に立つと肩をすくめた
「今の話聞き捨てなら無いわね」
「な、なぜ貴様がここに!」
「お前を蘇らせたのは何のためだと思ってるの」
・・・・・・・・・ゴルモアを蘇らせたのはミナックスだったのか。ちっ
(実は誰かが知らずに蘇生した説を気に入っていた奴)
ゴルモア・・・(涙)
エレイン女史や冒険者達が動揺する中、ゴルモアとミナックスの会話は続く。
「だ、だがもう貴様の力なぞ借りずとも この世界は世が滅ぼしてくれるわ!」
このゴルモアの言葉にミナックスは苦笑でもしたか。
うっは。きっつぅ。
ミナックスの狙いはこの世の破滅などではない。
そしてゴルモアは・・・ぶっちゃけ1999年7の月で用済みなんだよな本来。それを過ぎて出てくるのは正月過ぎのクリスマスツリーっていうか子供の日のお雛様っていう〜か(酷)
「裏切ったあんたはもう用済み」
あっさりとゴルモアを切り捨てるミナックス。そして
「Kal Ort Bet Ylem An Corp Por」
呪文を唱えると、ゴルモアの王座の後ろにあった「A Shard Of The Gem」と表記された欠片が無くなった。
「A Shard Of The Gem」ったら・・・宝珠の欠片じゃないですか
ゴルモアのあの驚異的な体力は、モンデインが討ち果たされた時に砕け散った宝珠の欠片、そのひとつひとつにシャードがある、と言われる欠片のせいだったのか。ってか、ミナックスはまだ宝珠の欠片を持っていたのか。
(呪文を直訳すると Kal Ort Por(召還・魔法・移動)でリコール。その移動されるものはBet Ylem An Corp(小さい・物質・打ち消す・死)つまり、不死の小さい物質、不死の宝珠の事か。)
みるみるうちに怪しげな色合いになるゴルモア。本来の姿、腐敗しきった死者の体に戻ったらしい。
ミナックスはゴルモアの事など歯牙にもかけないように横を向くと、エレイン女史を一瞥した。
「それにしてもアンタは本当にウザいのね」
女史が取り落とした愛用の剣が砕かれてしまった。
そして興味を失ってしまったかのようにミナックスは魔法を唱え、姿を消した。
まちやがれミナックス!
と声がかかったものの・・・本気で待たれちゃ困るんですがね。
まぁ・・・お楽しみは後に取っておく、ミナックスらしいといえばミナックスらしい。
あとに残されたのは、腐りかけのゴルモア。今なら奴を倒せる!
冒険者達の声に、女史はあの剣を手にした。
禍々しくぬらりと光る、紫色の魔剣、ソウルイーター。
「この剣、見覚えが無いとは・・・言わせません!」
「な・・・その剣はかつて失った余の剣!!何故貴様が!」
動揺するゴルモアに刃を向けるエレイン女史。
すると禍々しい紫色だった刀が、白く神々しく輝きだした。
「永遠に、永遠に地獄に帰るがいいわ!!!!みんな、行くわよ!!!!!!」
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