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       「プラチナドラゴンとクリムゾンドラゴンの最終決戦がある」 
      そう聞いてフェルッカのトリンシックに向かった筆者。 
       
      シャドーロードに加担するクリムゾンドラゴン。そして、どうやらクリムゾンドラゴンと対立しているらしいプラチナドラゴン。話の通じそうなプラチナドラゴンが勝つか、それとも破壊衝動に駆られ人間に対して悪意を持つクリムゾンドラゴンが勝つか。 
      とにかく、ブリタニアの平和のためにはクリムゾンドラゴンを倒し、プラチナドラゴンを勝利に導かねばならない! 
       
      案の定、トリンシックの街には赤い人たちが走り回っていた。 
      特に大和で幅を利かせているらしいミナックス派閥のタグが目立つ。 
      クリムゾンドラゴンはシャドーロードと手を組んでいるが、ストーリー上、ミナックス派閥もクリムゾンドラゴンに与したらしい。クリムゾンドラゴンが勝利すれば、SL派閥とMNX派閥に何らかの報酬が与えられるそうだ。 
      ということは、間違いなくミナックス派閥の方々は敵なわけで・・・ 
        
       
      はい、戦おうってぇのは無謀です。見つかった瞬間、さっくりと転がる筆者。 
       
      そうこうしているうちに、クリムゾンドラゴンとプラチナドラゴンが登場。 
       
      怪獣決戦のはじまりである! 
       
        
       
      ミナックス派閥の方が手際よく、統率された動きでクリムゾンドラゴンに助力していく。数頭のクリムゾンドラゴンを、殺されないように遠隔地におびき寄せ確保、そしてクリムゾンドラゴンに攻撃を仕掛けるPCを殺害。 
      ヤバい、いくらプラチナドラゴンに与する人が多いと言っても、このままではクリムゾンドラゴンに圧倒されてしまう。 
      果たして、見る見るうちに減っていくプラチナドラゴンのHP。 
       
        
       
      ミナックス派閥の赤ネームは、青ネームを見るやいなや、攻撃をしかけてくる。手際のよさに、思わず感心してしまった。 
       
        
       
      このままでは・・・また、見ているだけしかできないのだろうか。 
      プラチナドラゴンに味方したい、しかし、クリムゾンドラゴンに攻撃をするとあっという間にミナックス派閥に殺される。 
      いや、殺されるのは別に構わない。死ぬのには慣れている。 
      だが、正直な話、自分がクリムゾンドラゴンに攻撃しても、マナ回復はべろべろ付いていても魔法ダメージは一切ついていない装備。ダメージは微微たるもの。逆にクリムゾンドラゴンの反撃であっという間に殺されるのがオチである。 
       
      ・・・何も、出来ないまま終わるのか・・・ただ、プラチナドラゴンが死に行くのを見守るしか・・・・ 
       
      いや、できる! 
      対人ができなかろうと、装備に与ダメUPが一切付いていなかろうと、これなら!そう、これなら! 
       
        
       
      プラチナドラゴンにぴったりと張り付くと、回復魔法を連打! 
      はっはっはっはっ、瞑想110、マナ回復濁をナメんなああああ! 
       
        
       
      どりゃぁあああああ 
       
       
      正直、ミナックス派閥の赤ネームに殺されても構わん、ばっちこ〜いっな気持ちで張り付いていたのだが、どうやら殺害する価値もないと認識されたらしい。完全スルー。 
      回復魔法を連打、たまにマナ切れに苦しみつつ、ひたすらプラチナドラゴンの回復に努める。 
       
        
       
      一旦は微妙に盛り返したものの、またじわり、じわりと減っていくプラチナドラゴンのHPゲージ。 
      必死にプラチナドラゴンに回復魔法を唱え、思い出したように攻撃を加えてくるクリムゾンドラゴンに殺害され、ヒーラー小屋に走り蘇生、再びプラチナドラゴンに駆け寄り回復魔法、クリムゾンドラゴンの炎に命を削り取られながらもプラチナドラゴンに回復魔法を唱え、そして死亡、ヒーラー小屋で蘇生、再びプラチナドラゴンに・・・ 
       
        
       
      何度死んだことだろう。 
      真っ赤に染まるプラチナドラゴンのHPゲージ。クリムゾンドラゴンはぴんぴんしているというのに。 
      しかし、諦めずに回復魔法を打ち込み続ける筆者。 
       
      しかし、ついにプラチナドラゴンは力尽きた。 
       
       
        
       
      すべてのプラチナドラゴンを倒し終えると、おもむろに黄色ネーム、無敵状態に変わるクリムゾンドラゴン。 
       
        
       
      クリムゾンドラゴンの与する闇の存在に負けた。フェルッカ、トリンシックはクリムゾンドラゴンの手に墜ちたのだ。 
      しかしながら、なぜか筆者には不思議な達成感があった。 
      負けはしたものの、ただ黙って見守るのではなく、必死に戦い続けた。そう、回復魔法をかけ続けるという戦いで挑んだのだ。 
       
      これがワシの戦い方じゃぁぁぁぁぁっ 
       
      言うなればガンジーの非暴力による抵抗の精神にも通じるような(嘘 
      んまぁ、冗談はともかく。 
      自由度が高い、と言われるウルティマ・オンライン。いまだにUOに勝る自由度を持つオンラインゲームはない、とまで言われている。 
      その自由度の中で楽しみ方が人によって異なるように、ブリタニアにおける「強さ」は力だけを意味するのではないはずだ。弱者の繰言だと言われようとも。 
      敗れはしたものの、その「強さ」に通じる道の欠片が、かすかに見えた気がした筆者であった。 
       
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