「ロードブラックソンの最期」

ロード・ブラックソン目撃される!レディ・ドーンのスピーチロード・ブラックソンついに倒れる!



エクソダスの急な沈黙から長い月日が経ち、記憶も薄れようとしていた。
残党と思しき奴らが街々を襲撃したりはしていたものの、以前ほどの勢いは失せている。
世間は既に痛手から立ち直っていた。
今思えば、もしかするとこれは彼女なりの陽動だったのか…ドーンはトリンシック、ニジェルムで対ブラックソン戦終結宣言を行った。「もはやジュカは脅威ではありません」
そして図らずや否や、サーペンツホールドでの演説の最中にブラックソンが襲撃してきた!
そして戦場はドーンの故郷、ユーへと移動する。最後の決戦が始まった。



実はそれまで、ドーンが直接冒険者達の前に現れることはあまりなかった。

気高き王ブリティッシュから「騎士の剣」を授与された祖父に剣技と徳の精神を伝授された若き女性、ドーン。一人の農民の娘に過ぎなかった彼女だったが、ジュカが彼女の住む ユーの町を蹂躙した際に生来のリーダーシップを発揮。彼女の素晴らしい剣の技と、ユーの戦士達への乙女の叱咤激励がジュカを街から追い出した。
時を同じくしてジュカの襲撃を受けた首都ブリティンから救援要請が来ると、人々は自然とドーンを指導者としてみなし、部隊の指揮を依頼する。
「一介の農民の娘にしか過ぎない私に!?」
一瞬戸惑うドーンだったが、徳と共にある彼女にとって、これは義務であると感じられた 。「義務を怠らない心」それは「名誉」。
「名誉と正義のために!」ドーンは剣を振りかざすとブリティンへと向かった。

そこで共に肩を並べて戦ったデュプレに認められたドーンは、ロイヤルナイトの鎧とロイヤルナイトの称号を与えられ、前線で指揮を取るようになったのだ。

徳の体現者であったロード・ブリティッシュがその姿をくらませてから、どれだけの年月が経っていたであろうか。国を導く偉大なる主を見失った人々は、希望と同時に徳を尊ぶ心を失っていた。そこに現れた、八徳を身につけ、指導力のあるうら若い乙女。人々は彼女の中に、かつて 王に見たものと同じ輝きを感じたのだ。

デュプレはナイスチョイスをしたと言えるだろう。
強いリーダーシップを持っているということ、神秘性を感じさせるうら若い乙女であるということ、そして変な野心を持っていないこと。ドーンは 国難に際して民衆の心をひとつに結集させるのに最適な人材だったと言えよう。


あるお人がこう言った。「血と汗と砂埃に塗れてこそのDawnです。歯を食い縛って睨み つける姿こそ燃えです。」よくお分かりで。
荒れ果てたユーの大地を見て くっと涙をこらえるドーンとか、ブラックソンのあまりに強大な力を前にひるみそうになる自分を抑えて 真っ直ぐににらみつけるドーンとか、跳ね飛ばされ、頭から沼につっこんでも泥を顔から払いのけることもなく再びブラックソン につっこんでいくドーンとか………なんで筆者、加虐心あおられてんだ。

そしてついに最期の時が来た。
攻撃を受け、倒れ行くブラックソン…突如その身体は「幻想的なきらめきを放ち、微塵になった」のだという。
全てを失い、絶望の黒い塊と化していたブラックソン。
永遠の暗闇の中で一人、嫌悪と恐怖の対象として取り残される運命から彼を解放したのはどこか少女の面影を残す、一人の女性だったのだと信じてもよいのだろうか。行方の知れない友と同じ、八徳を体現する彼女によって 彼は胸の締め付けられるような孤独から救済されたのだろうか。

それからのドーンの足跡はようとして知れない。その後、ブリティン城にとどまったという記録も無い。彼女はブラックソンが倒れた時、自分の義務が終わったことを知ったのであろう。栄光に留まることを潔しとせず、おそらくはユー復興に尽したのではないだろうか。あくまで想像にすぎないが、そのような気がしてならない。


と思っていたら2009年、シャドーロードとの戦いの末期、ドーンが登場するらしい。八徳の体現者として、現状を見て見ぬふりは出来なかったのであろう。
ではもし万が一、そんなことはありえないとは思うが、ブラックソンが復活したら?…それはもう、彼の残りカスでしかないので、きちっと葬ってあげるのが親切心ではないかと。これ以上痛々しい姿は見たくない、というのが本心。